シェンゲン・ビザの名は 1990 年より続くシェンゲン条約(Schengen Agreement)に由来します。シェンゲン条約は「シェンゲン協定(Schengen Agreement)」の元となり、それが転じて 5 年後の1995年に「シェンゲン圏(Schengen Area)」が定められました。 シェンゲン圏はシェンゲン協定に属する 26 のヨーロッパ諸国からなる区域で、互いに接する国境の警備隊を撤廃することに合意したものです。これは圏内における国境警備を緩和するだけでなく、シェンゲン圏外の国境に対する警備の強化も可能としています。 現在協定に加盟しているか国にはノルウェー、アイスランド、スイス、リヒテンシュタ インら 4 つの非EU加盟国も含まれす。一方、アイルランド、イギリスの二ヵ国は自国の国境警備維持と共通旅行区域(CTA)制度の国境警備方針を他の EU 諸国と共有するために協定から脱退しました。ブルガリア、クロアチア、キプロス、ルーマニアらはじきにシェンゲン協定に加盟する予定です。
シェンゲンビザとは
シェンゲン協定とは
シェンゲン協定とシェンゲン・ビザの目的はシェンゲン圏内の国間往来を自由にし、特定の国境を簡単に跨いで生活や仕事を出来るようにすることです。故に、本質的にそこには国境検査が存在しません。しかし、シェンゲン協定の権限に反し、安全上の問題が生じると加盟国の特定機関が国境にて検査を行います。ただし、この検査は一般的な国境検査より度合いが低いものです。また、シェンゲン圏内の各国は、疫病やテロなどの社会的問題や国家安全にかかわる問題が起きた場合でも国境警備を完全に復帰させてはなりません。
シェンゲン・ビザの必要事項と対象者
シェンゲン・ビザにはいくつかの種類があります。大使館がビザに定めた種類と期間の中ではシ ェンゲン圏内での個人の移動を自由に許すという政策です。 各種類のシェンゲン・ビザでは対象者の状況や旅行目的に基づいて移動圏を細かく限定しています。加えて、ビザの種類を定める方法は取得地域によらず一般的に同じであるとするにもかかわらず、大使館や領事館ごとにそれぞれ全く異なる書類の提出を手続きの上で要求しています。求められる追加書類の多くは個人の特定や申請の意図に関するものです。
ビザ免除国以外の国とテリトリーの旅行者は必ずシェンゲンビザを取得してからシェンゲン地域の国へ渡航できます。渡航目的と滞在期間により、取得可能なシェンゲンビザは3種類あります。それはAビザ、CビザとDビザです。
Aビザはトランジットビザです。Aビザをお持ちであれば、シェンゲン地域国の空港でトランジットして第三国に渡航することができます。
Cビザは短期滞在ビザです。Cビザ所有者はシェンゲン地域で観光、親族訪問を目的に、半年間90日以内滞在することができます。
Dビザは長期滞在ビザです。一般的に、Dビザは一つの国しか適用できません。滞在期間は90日以上になります。就労や留学など長期滞在を目的で渡航しようとするときにはDビザの申請が必要になります。
シェンゲン・ビザの中でも最も一般的で人気のある種類を以下に記載しています。申請者の状況や旅行 の目的に応じて異なる種類のシェンゲン・ビザが発行されます。定義上はいずれのシェンゲン・ビザもそれぞれ特有の制限を設けているので、各分類を理解し、自分の状況に最も適したビザに申請する必要があります。
シェンゲン国別一覧(Schengen Visa country)
シェンゲン学生ビザ(Schengen Student Visa)
この種類のビザはシェンゲン圏内の教育機関で学ぶことを保証されている学生に適しています。就学しようとしている対象国の市民権は学習目的でこのビザを取得する際には不要です。注意すべきは、シェンゲン学生ビザでは学生に移住権を与えないということです。
シェンゲン商用ビザ(Schengen Business Visa)
商用目的としてシェンゲン圏を渡ることを意図したビザ。1 か国、あるいはそれ以上の国に適応されます。シェンゲン商用ビザは商業関連の目的のみを意図しており、観光や行楽には適していません。このビザもまた、商業目的で訪れる国の市民権は要していません。
シェンゲン就労ビザ(Schengen Working Visa)
シェンゲン圏の 1 つまたはそれ以上の国で就職する人向けのビザです。このビザでは訪問国の住民権を申請者と、希望があればその家族にも発行します。
就労ビザの制度はシェンゲン協定に加盟している国ごとに異なっています。
場合によっては無犯罪証明書の提示や、資金証明の6カ月分を求められることもあるため、事前の準備が必要になります。
シェンゲン・ビザの申請方法
シェンゲン・ビザ申込用紙(Schengen Visa application)をダウンロードし、よく注意してす べての必要項目に記入してください。シェンゲン圏内で入国するすべての国に対するシェンゲン・ビ ザを申請しなければなりません。その国に訪問するのか通過するだけなのかによらず、どのビ ザ申請用紙も全く同じ記入内容です。
申請用紙は必ず最新版をダウンロードします。記入方法は手書きでも打ち込みでも大丈夫です。 ただし、申請者本人の手書きサインが必要です。未成年者の申請では保護者による同意とサインが必要となります。申請用紙の中に申請者には当てはまらない部分があれば、そこには NA(No Answer)と記入します。手書きで記入する場合の文字の色は黒が推奨されています。どのシェンゲン加盟国から申請するかによって、詳しいガイドラインが用意されています。
シェンゲン・ビザ必要書類
シェンゲン・ビザ申請のための必要書類はすべての参加国において同じです。しかし、実際のところ申請を出す国や申請者本人の状況によって異なる追加書類が必要となるでしょう。
EU における二重市民権
特定の国で市民権を得る方法は基本的に、出生、婚姻、あるいは帰化の必要があります。しかし、 他国へ移住し、帰化によって市民権を獲得しようとすると、特定の市民権を指定するか、二重市民権を得ることになります。二重市民権とは、生まれた母国と移住しようとしている国、その両方の市民としてみなされることです。二重、あるいは多重国籍は申請して証明書を得 るだけ、というような単純なものではありません。各国はどの人物を市民と認めるかを決める為にいくつもの規則と規制を設けています。
二重市民権を得るということは居住を対象国が定める法と規制によって認められたということです。アジア人がグレート・ブリテン島に渡りイギリスの市民権を得ようとする場合、その大半はイギリスによって決められた規制と規則に基づいて居住することになります。一方、アジア の母国に訪れる場合、このアジア人はイギリスと母国、その両方の規則に縛られることになります。これは個人にとって非常な混乱を招く状態ですが、同時に意識しなくてはならないことです。欧州連合に移住しようとする外国人が二重市民権を得ようとすると、その新たな居住国の法や信条に慣れるだけでなく、母国の法や信条も守る必要があります。
注意事項として、すべての EU 加盟国で二重市民権を認めているわけではありません。28国の大半は認めていますが、どの国が認めていて、どの国が認めていないのかを認知しておく必要があります。しかし、90%以上のEU市民は2つ以上の市民権を保有しています。EUにおける市民権の定義やマーストリヒト条約への加入条件を定める法的概念は1993年の11月1日に施行されています。